映画レビュー「すばらしき世界」感想

U-NEXTで配信されていた映画「すばらしき世界」を見たので感想を書いていく。

あらすじ

三上正夫(役所広司)は殺人で捕まり刑務所での刑期を終え上京する。

弁護士の助けもあり、生活保護を受けながらなんとか生活を立て直す三上であったが、早く自立したい気持ちと元犯罪者を受け入れない社会の闇がそこにはあった。

この話は実在した男がモデルとなっている。

運転免許の一発合格は不可能

有名な話だが、運転免許の一発合格はほぼ不可能に近いらしい。

映画内では、運転免許を再取得するために運転試験を受けるシーンがあるが、どんなに上手くてもまず一発合格はできないという。

とはいえ、教習所に通う金のない者は安く受けることのできる一発合格を狙う者もいるだろう。

運転免許を取るために大金がかかるというのも一つの社会の闇ともいえるのかもしれない。

殺人鬼の真理は難しい

シャバは出てきた三上の立ち居振る舞いは、一見すると更生するしたかに見えるが、自分の思い通りにいかないことが起きたり、クズが回りに現れると豹変してしまう。

怒りやすい性格は、生い立ちが原因のように描かれているが、実際にそういう人は社会に結構いるように思う。

まあさすがに怒り狂って殺人まで犯す者の割合になると極々少数にとどまるだろうが、それでも怒りの感情をコントロールできない者はこの社会には一定数いて、彼らにとってこの社会は非常に生きにくいものなのだろう。

ドキュメンタリー風な演出

テレビ番組のドキュメンタリーを撮るという話と、小説家が小説を書いているという描写と、実際に起こっている出来事が上手く混ぜ合わさったような演出になっている。

作品全体として、ひとりの男のドキュメンタリーのように仕上がっており、最後まで見ていて飽きなかった。

一度でもドロップアウトしたら終わり

少なからず今の日本にはセカンドキャリアが難しいというところはある。

犯罪者がシャバに出ても居場所がなく、5年以内に再犯する確率は半数にも及ぶという。

犯罪者とまでいかなくとも、新卒で就職できなかった者が再就職が難しかったり、一度ニートになるとなかなか社会復帰が難しかったり、誰にとっても決して他人事ともいえない問題なのである。

総括

久々に見入ってしまった..。

最後に三上が仕事について障がい者を助けるシーンはグッときた。

邦画ってどうも洋画の劣化版という印象が強くてあまり見たくないのだが、最近の邦画はかなりクオリティ上がっているようにも思う。