
「さよならの朝に約束の花をかざろう」というアニメ映画を観ました。
面白かったのでレビューしようと思います。
あらすじ
寿命数百年という長寿の種族「イオルフ」がいた。
その種族は人間の何倍もの時間を若い状態のまま生きることができる。
種族は人里離れて幸せに暮らしていてが、ある日人間の軍に襲撃される。
なんとか逃げ延びた長寿の少女マキアは
道中で孤児の赤子男児を拾い育てる決意をする。
マキアは赤子にエリアルと名付ける。
生き残った一族の行く末とエリアルとマキアの成長物語となっている。
感想
あの花の脚本を担当した岡田麿里氏の初監督作品のようです。
このストーリーをずっと描きたかったといいます。
確かに凄く深いテーマで面白かったです。
主人公のエリアルの種族は歳は取りますが、見た目が何百年経っても少女(少年)のまま若さを保てます。
人間の子供を育てても、やがては先に老いて先立たれてしまいます。
このへんは何かペットを飼う感覚に似ていますね..。
基本設定
マキアの寿命は長いですが、物語がスタートした時点ではまだ見た目年齢くらい(14~15歳)から始まります。
また歳を取らないといっても不老不死なわけではありません。(見た目年齢は10代半ばで止まる)
作中ではイオルフが人間に虐殺される描写もあるので、事故死や戦死はしてしまいます。
このストーリーの見どころは種族間の争いの中で描かれている愛です。
マキアは人間の子供エリアルを我が子のように可愛がって育てますが、エリアルが少年~青年へ成長していく過程で葛藤を覚えます。
現実の思春期、反抗期にも似ている部分はありますが、ここに不老の少女に育てられるという葛藤、もんもんとする気持ちが伝わります。
登場人物や時系列

ごちゃごちゃとキャラが出てこないので覚えやすいく見やすいです。
ただ、時系列の進みがやたらと早いので、人間キャラは見た目が一気に変化するので一瞬誰だかわからなくなります。
時系列の進みの速さに関しては、もう少し掘り下げてゆっくりと描いても良いように思えますが、時間制限のある映画だと難しいのかもしれません。
人間の描き方が巧妙
この物語には色々な人間が出てきます。
行き場を無くしたマキアに最初に住む場所と仕事を与えてくれるミドさんは典型的な優しい人間です。
一方で、ミドさんの元を離れてからマキアは人間の悪意にも触れることになります。
最初に襲撃された軍隊も人間の私利私欲による誘拐なので悪意そのものです。
単純な一族と人間対立構造になっているわけではなく、あくまでも登場する人物の心理が物語の中心になっているのが凄く良いですね。
感想まとめ
ネタバレなしだとあまり本編の内容に触れれませんが、この映画は人物の成長や心理的な部分が面白いポイントです。
作中でどんな事件が起こったのか、どう展開していくのかという事よりもキャラクターの心情を楽しめる映画でした。
最後のオチも特別もストーリー展開も演出も特別に斬新というわけではないですが、切なく観た後の後味の良い作品です。