
こんにちは、エスジェイ(@crisisnoeln)です。
先日、レイリという漫画を全巻イッキ読みしたので、その感想レビューをしていこうと思います。
レイリとは・・
漫画レイリは、岩明均原作で作画は室井大資が担当している。
武田勝頼が織田・徳川連合軍に大敗した「長篠の戦い」より4年後(1579年)から物語は始める。
主人公のレイリという名前の女の子で、彼女を中心として武田軍と織田軍の最後の戦いが描かれている。
天才・岩明均

岩明均は、寄生虫やヒストリエといった代表作をはじめ、歴史物から現代まで幅広い漫画を描いている。
多くの漫画家はキャラクターを大事だというが、岩明氏はストーリーが大事だという。
もっというと「ストーリーが大事」というより「この話が描きたい」というものを最初に作ってから、漫画を描いたほうが良い作品が描けるという。(通常の漫画家はキャラがありきの場合が多い)
天才漫画家とも称されることも多く、特にヒストリエは賢人たちからも高く評価されているように思える。ただひとつの欠点として、自他ともに認める遅筆であり、異常に休載が多い。
連載スピードが遅いという点でも、同じく天才とよく称される「冨樫義博」氏とも似ている。
逆説的に考えると、単純に良い作品を作るための構成に時間をかけているからこその評価ともいえるだろう。
漫画担当の室井大資
レイリの漫画は室井大資氏が担当している。
岩明氏はレイリの原作を10余年の歳月をかけて構成したという。
さらにヒストリエの連載もあるので、その間で少しずつ事実確認なども調べてレイリを構成したそうです。
構成だけでもそれだけ時間がかかっているので、漫画にする時間は当然なかったのでしょう。
そこで岩明氏は室井氏に漫画制作を依頼したようだ。
室井大資は漫画家としてはそこまで有名なわけではない。
2000年のデビュー以降、2020年時点でレイリの全6巻以上に続いている連載はない。
「秋津」という底辺漫画家を題材にした作品を岩明氏が読んで、作風を気に入った岩明と担当編集が室井に声をかけたという流れのようです。
まあ単純にあまりに人気の人だと時間もないでしょうし、誰かに漫画を任せるとしたら必然的にヒット作品のない漫画家になるのは当たり前ですが、やはりそこは岩明均。しっかりと自力のある人を選んでいますね。
レイリを読んだ感想
あらすじ
謎の少女、レイリは村では負けなしの剣の使い手である。
冷血で感情がないようにも思えるレイリ。なぜ彼女はこうなのか、1巻ではレイリの過去が描かれる。
4年前、レイリは百姓の娘で家族仲良く平穏に暮らしていた。
そんなある日、長篠の戦いの落ち武者狩りの被害に合い、父、母、弟を目の前で惨殺されてしまう。
責任を感じた岡部元(信岡部丹波守)という武将に拾われて現在に至る。
ある日、土屋惣三(つちや そうぞう)という男とレイリは剣で破れる。
レイリは岡部の元を離れて、土屋とともに武田家の元へ行き、武田信勝の影武者の任務を任される。
要約すると、レイリという過去に家族を惨殺された女の子が、ひょんなことをきっかけに武田軍の影武者となり、やがて戦でも活躍するというもの。
歴史物の好みが別れる点…
個人的には、歴史物があまり好きではないというか苦手である。特に戦国時代や三国志みたいなやつは苦手です。
いくつか理由があると思いますが、その理由のひとつに「先にオチが見えている」というのがあります。
先に犯人を特定したところから物語が進む推理小説もあるくらいなので、この技法自体は確立されているのだが、どうも好きになれない。
最近ではまさにキングダムが、その代表作といえるだろう。
やはりキングダムも個人的にはあまりシックリこない。
一概にそうともいえない作品もある。「バガボンド」や「ヒストリエ」は歴史物でも大好きな作品だ。結局は内容にどれくらい世界観や展開に引き込まれるのかが大事なのでしょうか。
例えばバガボンドなら武蔵は最終的に小次郎と巌流島で戦い、勝つことは確定していますが、それでもバガボンドでどう2人の戦いを描くのかは絶対最後まで見たいと思います。
ヒストリエに関しては、そもそも歴史的な知識がまったくないので「へー」って感じで楽しめてるとは思いますが、レイリのような最後どうなるか見えている作品となると、やっぱりよっぽどな展開やキャラの魅力がないと最後の最後まで引き込まれる名作とまではいかないのかもしれません。
あとはキャラクターがもう少し強いほうが個人的には好みなのかもしれない。
歴史物だと、武将のイメージもあるので、真面目路線に行けば行くほどに、あまりにへんなキャラクターにしにくいところもある。
本作も織田信長や徳川家康といったドメジャー武将も登場するわけだが、ドメジャーの人物ほどキャラが薄くなってしまう。これは物語の構成、致し方ないことなのかもしれないが、それこそバガボンドは実際の有名人ほどカッコ良かったりするわけだ。
この辺りの微妙なキャラクター構成に面白く感じるかどうかの本質があるのかもしれない。この答えはまだ私も模索中だが「面白く感じる事の本質とは何か?」という意味でも、僕にとってレイリは色々と考えさせられた作品となった。
まとめ
レイリは6巻で綺麗にまとまっている物語なので、歴史好きな人なら普通に楽しめる漫画だと思います。
個人的には、レイリの回想シーンが一番好きで、物語が終盤に差し掛かるほど、ストーリーよりもレイリが最後どうなるのかが気になってしまいました。
総括すると、やはり「寄生獣」や「ヒストリエ」と比べると、知名度の通りで1ランク、2ランクは落ちる漫画ではありますが、それでも寄生獣やヒストリエが凄すぎるだけなところもあるので、そこらにある漫画よりは遥かにまとまっていて質の高い作品だと思います。