九条の大罪1巻読んだ感想

ウシジマくんの作者による新しい漫画「九条の大罪」の1巻を読んだのでレビューします。

 

あらすじ

いい弁護士は性格が悪い..弁護士の九条の元にはクズが集まる。

飲酒運転で人を跳ねてしまった森田は先輩の壬生(みぶ)の紹介で弁護士の九条を紹介してもらう。

令和の時代を生きるには法律(ちえ)が必要不可欠。

 

作風や設定について

本作はウシジマくんと同じ世界観で設定も似ている。

ウシジマくんとの最大の相違点は、主人公が犯罪者か否かということだ。

丑嶋はしょせんはヤミ金融屋なので、どんなに良い行いをしようが、良いことを言おうがしょせんは犯罪者なわけだが・・

九条は弁護士なので、どんなに倫理的に反したことをしようが、性格が悪かろうが違法な行いはしない(今のところ)という点だろうか。

このあたりは、ウシジマくんの頃からの一番の変化じゃなかろうか。

 

この作者の作風は、かなり時代の変化に敏感で最新情報に常にアップグレードしていく作風的にも、はやヤミ金融屋を主役に置くのは限界だったのだろう。

ウシジマくんの連載開始当初は、まだテレビでも違法のヤミ金融業者とタレントが電話でバトルするような番組もあったりと、もちろん犯罪ではあるし悪いことではあるのだが、どこかアウトローな存在は認められている風潮もあった。

しかし昨今では、反社会的組織に対する風当たりもいっそう厳しくなり、こういう人間が漫画やネットの世界といえども表舞台でやっていくのは難しい世の中になっている。

そういう意味でも、主役がヤミ金融屋から弁護士に変わるのも納得できる。

 

今どきのYouTuber、インフルエンサーなんかも、倫理的には完全にアウトだが、法的にはセーフ。という絶妙なラインをいかに追求できるかが勝負なところもある。

(ラインを読み違えてパクられる輩も多数いるが..)

作風こそ変わらないが、しっかり今の時代に合った主役にモデルチェンジしているのだろう。

 

ベースはウシジマくん

とはいえ、ウシジマくんの読者ならウシジマくん感が抜けないだろう。

主役の九条も、その周りのレギュラーキャラもウシジマくんのときと似たようなメンツになっている。

九条は離婚歴があり、合理的に物事を考え、自分の主張はあまりしない。

ダークな面があった分、たまに見える一般人っぽい感覚が良かった丑嶋に対して、九条の場合は悪徳とはいえ弁護士なので犯罪行為をやるって路線にはいかないだろう。

そうなると、なかなかウシジマくん以上に面白い感じになるのか、少し疑問なところもあるが、1巻の時点ではいい感じに仕上がってはいる。

 

発達障害でチンピラグループにこき使われている曽我部(そがべ)の話は、まさに今どきの流行りを上手く作風に取り込んでおり完成度が高かった。

登場人物の独特な名前も相変わらずで妙な味がある。

 

まとめ

 

ウシジマくんの続編と言っても良い漫画。

巻末にあった2巻の予告では、九条の過去も掘り下げられるようだったので先が楽しみだ。

後に丑嶋や柄崎が登場する話にも期待してしまう。

 

ウシジマくんで一生分は稼いだだろうに、まだこうして新作漫画を描き続けるのは本当にすごい。

作中には金の亡者みたいな輩がたくさん出てくるが、作者はお金には無頓着なのかもしれない。

作風はいっさい変わっていないが、主役が変わったことでまた違った角度からアウトローな世界の断片を楽しむことができる一作である。